アズビル金門の歴史

計量器のパイオニアとしての歴史

国産初のガスメーターを開発した創業者十文字大元の志を継ぎ、アズビル金門は計量器のパイオニアとして、100年を超える歴史の中で時代背景、社会のニーズに応じた様々な製品を生み出してきました。

  • 1930年(昭和5年):ダイカスト製品の本格生産開始
  • 1939年(昭和14年):都市ガス用大容量メーター、ルーツガスメーターの製造開始

1953年(昭和28年):
国産初のプロパンガスメーター乾式P1灯を完成

欧米では早くから工業用・家庭用に使用されていたプロパンガスも、日本人が初めて接したのは、ドイツの飛行船「ツェッペリン伯号」が茨城県に飛来した昭和4年のことです。飛行船にはプロパンガスを水素で薄めたものが使われており、これを目にして以来プロパンガスに対する認識を新たにした国内の人々は、徐々に家庭にもプロパンガスを取り入れるようになります。
当時のプロパンガスはボンベ売りだった為、ガスの残量がわからず不便が生じていました。
これを解消するため当社は従来の都市ガスメーターを改良し、国内初のプロパンガスメーター「P1灯」を作り上げました。

この頃の社会の動き
  • ・米、水爆実験
  • ・洞爺丸事件
  • ・1959年(昭和34年):石英硝子を素材とした水銀灯の製造を開始

1960年(昭和35年):
業界に先駆け、メーター内機にプラスチック材を採用したプラスチック製水道メーター(PW型)を開発

東京都水道局より「わずかな水滴でもキャッチできる高感度なメーターを開発してほしい」という要請を受け、数年前よりプラスチック製メーターの研究に取り組んでいた当社はその要請に素早く対応します。
メーター内部機構を従来の金属製からプラスチック化することにより、水垢や遊離炭酸の影響で鈍りやすかった金属製の時と比べて感度が著しく鋭敏になりました。また、羽根車も軽くしたことで少量から大水量まで幅広く正確に計測できる、高感度で耐久性にも優れた水道メーターを開発しました。

この頃の社会の動き
  • ・浩宮徳仁親王ご誕生
  • ・新安全保障条約発効
  • ・池田内閣発足
  • ・1960年(昭和35年):農業用水用SW型メーターの製造を開始
  • ・1964年(昭和39年):東京瓦斯(株)と共同開発によりT型ガスメーターを開発、製造開始
  • ・1968年(昭和43年):発電式隔測水道メーターGR-EX型(電磁カウンター方式)を完成

1968年(昭和43年):
金門型前金式ガスメーターを開発

昭和36年、国内の生活様式の著しい変化に伴い、ガスメーターにもコンパクト化が求められるようになります。当社は独自の設計により、小型で設置場所を選ばない上、感度も鋭敏なH型ガスメーターを開発します。
H型ガスメーターの指示機構にはガスの使用量を数字で表す直読式カウンターが採用されており、検針員や需要者のガスの指針値の誤認を防ぐ意味で大きな効果を発揮しました。
金門型前金式ガスメーターはそのH型メーターに前金装置を取り付けて開発されたもので、硬貨を投入すればそれに見合うガスが排出するというメーターです。その便利さが反響を呼び、病院やアパートなどに次々と取り付けられていきました。

この頃の社会の動き
  • ・ガスメーターおよび水道メーターに型式承認制度導入
  • ・郵便番号制度実施
  • ・川端康成 ノーベル文学賞受賞
  • ・1969年(昭和44年):ドリップメーター(超微少流量用流量計)を完成
    液封直読式水道メーターを開発
    空調機器(吸収式冷温水機)の販売を開始

1970年(昭和45年):
特許高性能KB型水道メーターを開発

角錐台ノズルの特徴を最大限に発揮した高感度メーターKXC型

プラスチック製水道メーターはますます高性能なものへ進展していきます。
当社は計量室のノズルを従来の「円形」から「角錐台状」に切り替えて羽根車の回転をスムーズにした水道メーターの極限ともいわれるKB型メーターを開発しました。
「角錐台状」ノズルは昭和44年、西ドイツ(現・ドイツ)のポップ・ウント・ロイター社と技術提携を行って国内に持ち込み、実情に合わせて製造を開始したものです。
このノズルを採用できたのも計量室がプラスチック製になったからです。それまでの金属製では採用は不可能でした。 金型作りから始めたので製品化するまでは大変な苦労がありましたが、二代目社長小野田忠がドイツから持ち込んだダイカスト工法の技術を活かすことで製品化に成功しました。
あいつぐプラスチックメーターの開発が自治体の水道供給の有収率アップに大きく貢献することとなったのです。

この頃の社会の動き
  • ・国産初の人工衛星「おおすみ」打ち上げ成功
  • ・日本万国博覧会、大阪・千里が丘で開催
  • ・日航機「よど号」赤軍派9人がハイジャック
  • ・1971年(昭和46年):隔測水道メーターGA型を開発
    OEX型流量計の製造を開始
  • ・1972年(昭和47年):温水メーター(HWM、HTM)を開発
    空調機器(吸収式冷温水機)の販売を開始
  • ・1973年(昭和48年):隔測水道メーター逆転防止型GI型を開発

1974年(昭和49年):
「扇形バルブ」を採用したN型2号を開発

N型ガスメーター
当社のアイデアで開発された扇形バルプ

日本ガス協会より全国どこのガス会社でも使用できる多機能の小型ガスメーターの研究依頼を受けた当社は、いち早く開発に取り組みます。
同時に、国内では昭和47年頃から従来の製造ガスに比べ熱量の高い天然ガスの普及率が高まっていました。使用量が少なくて済む天然ガスを計量する為には、小流量を正確に計れるメーターが必要となってきたのです。
全国の規格統一品であるN型2号の開発には当社のアイデアが数多く採用されました。中でも「扇形バルブ」は従来のバルブよりも広範囲で計量できるというもので、このアイデアが全面的に認められ、N型メーターに正式採用されることになったのです。

この頃の社会の動き
  • ・民放テレビ深夜放送中止
  • ・伊豆半島地震
  • ・国土庁設置

1975年(昭和50年):
熱線式ガス警報器「カナリヤ」を開発、販売開始

当社はガス安全機器の開発にも積極的に取り組んでいき、白金熱線を使用した第1号のガス漏れ警報器を完成させます。
「カナリヤ」という製品名は当時の社員からアイデアを募って決定した愛称です。
カナリヤはその後新たに開発された「ガス警報遮断装置」と組み合わせることにより、安全面で大きな効果を発揮するようになります。
ガス警報遮断装置は、ガス爆発のおそれのある濃度を感知したカナリヤが信号を発することにより、コントローラーがガスを遮断するという画期的なシステムです。
これによって、カナリヤはガスの安全機能面や事故防止に大きく貢献していくことになります。

この頃の社会の動き
  • ・エリザベス英女王夫妻来日
  • ・沖縄国際海洋博覧会開催
  • ・1978年(昭和53年):地下水汲み上げ規制に対応して、地下水を計量するTB型メーターを開発
  • ・1980年(昭和55年):ガスエンジン・ヒートポンプを開発
  • ・1982年(昭和57年):ガスエンジン・コージェネレーション・システムの製造・販売開始

1983年(昭和58年):
安全機能付き都市ガス用マイコンメーター「マイセーフ」を本格的製造販売

高層ビルやマンションの建設ラッシュを迎えていた当時、世間ではガスの安全性が更に強く望まれるようになりました。マイコンメーターはN型メーターの計量機能に安全機能を結合させたもので、震度5以上の地震の際はマイコンの指令で自動的にガスが止まるようになっています。これにより家庭でのガス使用に対する安心感が大きく高まりました。
マイコンメーターは更に進化を遂げ、昭和61年には、圧力感震器や自損事故防止機能を備えた上にガスの復旧方法を簡単にした「マイコンメーターII型」を開発。
計量オンリーの時代から安全を兼ね備えた時代へ。マイコンメーターの開発はガスメーターの歴史に大きな節目をつけたのです。

この頃の社会の動き
  • ・政令第8号により、都市ガス用膜式ガスメーター(5m³/h以下)の検定有効期間が7年から10年に延長
  • ・1986年(昭和61年):電話回線利用の「LPガス総合管理システム」を開発

1987年(昭和62年):
LPガス用マイコンメーター「シャダンエース」を販売開始

当時プロパンガスは消費者ミスによる事故が多発していました。通産省にて安全対策を検討した結果「安全器具を取る付けることが最も効果的」とし、プロパンガスにも都市ガスと同様、マイコンメーターが本格的に取り付けられるようになったのです。このマイコンメーターには「シャダンエース」という愛称がつけられ、開発には当社の技術力が大いに生かされました。
社内に「シャダンエース相談員」を置き、全国のプロパン業者や一般家庭に向けて取り付けの必要性をPRした結果、国内でのプロパンガスによる事故は大きく減少しました。

この頃の社会の動き
  • ・国鉄、7つの民間会社に移行
  • ・本州と四国を結ぶ瀬戸大橋完成
  • ・竹下内閣発足
  • ・1991年(平成3年):東京瓦斯㈱と共同で「地下埋設型レギュレータ」を開発
    温水メーター、積算熱量計の指定製造事業者事業所の認可を業界で初めて取得

1999年(平成11年):
平成15年4月施行の新しい水道水質基準に適合した、鉛レス銅合金を採用した水道メーター「エコメーター」の販売を開始

従来、水道器具の多くには亜鉛や鉛を含んだ一般的な青銅鋳物が使われています。
人体への影響を考慮し平成15年4月より水質基準に関する省令において、水道水への鉛の浸出は0.01mg/L以下に強化されました。
いち早く鉛レス銅合金によるメーターの開発に取り組んできた当社は、鉛レス銅合金製のメーターケースを用いることにより水道水への鉛の進出を0.01mg/L以下に抑えることに成功。人と環境にやさしい水道メーターを開発しました。
材料から製造、リサイクルといった「環境保護循環」を水道メーター分野に確立したのです。

この頃の社会の動き
  • ・NATO軍、ユーゴスラビアを空爆
  • ・東海村の核燃料工場で国内初の臨界事故

仕様表